
では、体脂肪はどこまで削ると健康に良くないのでしょうか?
コンテストに出るボディビルダーやフィジーカーたちは命を削って体脂肪を削っているとも言われます。
特に最近では「絞り」が重視される傾向にあるため、体脂肪の削り方も非常に危険な領域にまでなって来ていると思われます。

本記事では、体脂肪率をどこまで削ると健康に良くないのか、命の危険が出てくるのかというお話です。
体脂肪率を減らしすぎると健康に良くない!何%以下にするとヤバいの?
『〇〇し過ぎる』というのは往々にして良くないことが多いのですが、体脂肪も減らしすぎるとカラダにとってはマイナスなことが起こります。
まずはどれくらいまで体脂肪を減らすと健康上良くないと言われているのかをご紹介して、その後で体脂肪の役割についてお話します。
不可欠脂肪量:最低限必要な脂肪の量
「不可欠脂肪量」という言葉をご存知ですか?これ以上減らすと命に関わるぞ?というラインです。
体脂肪率ベースですと、男性と女性で以下の数値になります。
男性:4%
女性:12%
男性の方が女性よりも低い数値なのは感覚的にもわかるかと思いますが、女性の場合は子孫を残すために体脂肪が男性よりも必要になります。
体脂肪率の標準値が男性と女性で10%程度違うように、不可欠脂肪量も異なります。
もちろん数値には個人差がありますが、体脂肪を減らしすぎると女性の場合は生理が止まったり、生理不順になってしまったりします。
体脂肪の3つの役割について
体脂肪には大きく3つの役割があります。
では1つずつ見ていきましょう。
エネルギーを蓄えるはたらき
私たちは生きるためにエネルギーを使用するわけですが、カロリーは3大栄養素でそれぞれ異なります。
たんぱく質(Protein) | 4kcal |
---|---|
脂質(Fat) | 9kcal |
炭水化物(Carb) | 4kcal |
私たちがなぜ「脂肪(Fat)」を蓄えるのか。それはエネルギー効率が最も高いから。
ある日突然エネルギーの供給が途絶えても、ある程度の期間は生きられるようにしているというわけです。
細胞を作るはたらき
真核生物において細胞膜を構成するリン脂質は非対称性を有しており,ホスファチジルセリン(PtdSer)やホスファチジルエタノールアミン(PtdEtn)は主に細胞膜の内側に,ホスファチジルコリン(PtdCho)やスフィンゴミエリン(SM)は主に細胞膜の外側に位置している。
人間の細胞の、特に「細胞膜」を作るのに脂質は欠かせません。また、たんぱく質も細胞を作るときに必要であることはよく知られています。
細胞を包み込む膜を作っている脂質ですから、この脂質が無くなってしまうと細胞が作れなくなってしまいます。
ホルモンを作る働き
消化管ホルモンの一つである GIP は,脂質を摂取した際に,その分泌が強力に刺激される。最近の我々の研究により,糖質だけを投与した場合に比べて,糖質と脂質(食用油)を同時に投与した際にも,GIP さらにはインスリンの分泌が刺激され,運動後のマウスの骨格筋におけるグリコーゲン回復が促進されることが明らかとなっている。
脂質には様々なホルモンを作るはたらきもあります。
上記の論文に書いてあるとおり、消化系ホルモンに関わっているのももちろんですが、男性ホルモン(テストステロン)などにも脂質は大きく関わります。
体脂肪率は下げすぎないほうが良い
体脂肪率は下げすぎると健康的に良くないということがわかりました。
ボディビル大会に出ている選手たちの体は確かにかっこいいですが、あれは一時的なもの。オフシーズンはもっと脂肪が乗って居ますから、常に1桁の体脂肪などは逆に健康に良くないかもしれませんね。
痩せすぎる心配をするよりも、しっかりと鍛えて健康体を目指すほうが先ですね。
私もトレーニング頑張ります!



参考
スポーツ栄養における脂質の活用
細胞膜リン脂質のスクランブル機構
脂肪の代謝とその調節